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保守点検の最終チェックは頑固なマイスターが行う(2004年9月)

関西電力美浜原発 3 号機の蒸気噴出事故は死者 5 名という大惨事となった。

犠牲となったのは 2 次協力会社の作業員の方々である。関電にしてみれば直接指示の及ばない範囲の人々であった。関西電力は電力事業関連子会社だけでも 29 社、従業員約 8500 人を抱えている。子会社の下に更に数百社の協力会社が存在 し、現場を支えている。美浜原発では関電の社員約 400 人に対し、一次、二次合わせて 約 3000 人が係っていた。今回の事故は定期検査の準備をしている過程での突然の配管の 破裂であったが、この配管は 3 号機が稼動してから 28 年間全く点検されていなかった。

今回の事故は、皮肉にも新たに点検箇所として8月14日から始まる点検に入った場所から破裂したものであった。

近年、原発も含めて石油、石化プラントの火災事故、労働災害などが目立つ。プラントは 経年劣化する。それ故、定期点検・補修は欠かせなく、設備・保守課の役割は大きい。 しかしながら、多くのプラントなどを調査した経験から言えば、設備・保守部門はあまり 重要視されていない。近年のリストラ風潮に遭えば、真っ先に人・もの・予算が削減され る。その行き着く先は外注化であろう。関電も本社に補修課は存在するものの、おそらくスケジューリングと総括くらいで実際には子会社に丸投げされていた。

  外注化されれば、その仕事は言われたこと、決められた事がすべてである。更に、アウト ソーシング先会社のレベルもまちまちである。ここに大きな問題がある。

原発、プラントはシステムで動いており、 1 つ 1 つのポイントは日々変化する。

その変化をチェックリストの点検のみで「良・悪」を判断することは如何なものであろうか?毎日の巡回での音、計器の振れなどかすかな変化に気がつく感性も必要なのでは有るまいか?この感性を外注先に求めるのは端から無理である。何年、何十年に渉る 現場経験のみがその感性を育てるのではないだろうか?

世界中で最高の品質を売り物にしている企業には、出荷前に全体に渉ってチェックする マイスターがいることが多い。そのマイスターが「OK」サインを出さないかぎり 出荷できない。人命は無論のこと、今回の関電が失った信用、原発への不信感を金銭に置き換えてみれば、設備・保守部門を自社内で抱えることのコストは何百分の 1 にすらならないのではと思う。設備・保守部門に頑固なマイスターが求められる。





 


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